美術館と博物館等の散歩記録

美術館、博物館、寺社の宝物館、特別拝観、各地の特別公開を綴ります。

2022年6月19日、随心院門跡参詣記録

拝観日:2022年6月19日(日)、曇りのち時々晴れ

場所:京都市山科区右京区

随心院拝観料:500円

 

6月19日は、山科の随心院門跡を初めてお参りしました。

 

随心院の最寄り駅は、地下鉄の小野駅です。

駅から随心院までは、東側の道を緩やかに登り、奈良街道を渡った先に入口を見つけました。

 

約800年前に門跡寺院となった随心院の造りは、屋敷に近いものです。築地塀沿いに歩いて行くと、長屋門もあります。

拝観の受付は、広い土間のある庫裡に上がり、由緒書を賜ります。こちらの由緒書は読み応えがあります。

 

板の間の衝立には、小野小町が描かれています。この地には、寺になる前には、小野小町の屋敷があったと伝わります。順路は、廊下を反時計回りに歩いて、書院や本堂を巡ります。

お参りする寺は1ヶ所でも、これは十分に寺巡りです。

 

座敷には、狩野派をはじめとして、様々な襖絵が描かれています。門跡さんの寺ということで、柱の釘隠しや襖の取っ手の装飾は、菊の御紋です。

 

先客がしゃがみ込んで写真を撮っていた大玄関に立つと、新緑、深緑の風景を望めます。昔は今よりも眺めが良かったことでしょう。木々の中からは、ウグイスの声が響き渡ります。

 

玄関を過ぎて、隣の座敷には、重要文化財に指定されている、2体の仏様がいらっしゃいます。向かって左手には金剛薩埵が座っているものの、右手の厨子には御簾が下がっていて、中は見えません。

説明板によると、こちらは、御本尊の如意輪観音さんの席であるようです。御本尊と同じく重要文化財である、本堂の阿弥陀さんも、修復作業中です。長年同じ場所にいらっしゃると、仏様も関節や肌、衣服が傷まれるようです。

 

表書院の隣の座敷が「花の間」です。

花の間から縁側に出ると、本堂はすぐ隣です。本堂は西向きに建っています。

本堂の南西側は、花の間とは対照的に、緑色に囲まれた庭です。南側には小さな池があります。

本堂にお参りした後は、縁側に出て、しばらくの間、池に落ちる滝の音や、時折聞こえてくるウグイスの声に耳を傾けます。池の方からは、涼しい空気が届きます。ここに座っていると、足腰に根っこが生えてきそうです。

 

後半は、更に廊下を歩いて、奥書院へと向かいます。渡り廊下へ差し掛かる手前左手には、6畳間があります。ここには、聖天さんと共に、立ち膝姿の小町坐像が祀られています。

こちらの小町さんは煤けていて肉眼ではよく分からないものの、由緒書きによると、晩年の姿を刻んだものとされています。

由緒書の画像を見る限りでは、苦労を重ねたような顔立ちに見えました。

 

中庭のシャクナゲは花期を終えてしまったものの、苔を見ながら渡り廊下をゆっくりと歩いているだけでも十分に楽しめます。

 

最後は再び受付に立ち寄って、散華を買って帰りました。