美術館と博物館等の散歩記録

美術館、博物館、寺社の宝物館、特別拝観、各地の特別公開を綴ります。

2023年8月26日(土)、奈良国立博物館で特別展「聖地 南山城」を鑑賞

鑑賞日:2023年8月26日(土)、晴れ時々曇り

鑑賞料金 :1800円

 

奈良国立博物館とシカ

昨年8月26日は、奈良国立博物館にて「聖地 南山城」を鑑賞しました。

この特別展のことは、主催者でもある『日経新聞』の特集記事で知りました。

 

特別展の受付では、電子チケットの画面を読み取ってもらい、紙のチケットを受け取ります。紙のチケットを持っていると、仏像館も鑑賞できます。

 

展示室は2階です。内容は7章立てです。

入口では、展示目録と共に、仏さんのイラストが描かれたマップももらいます。

 

現在では、京都府内に属する南山城地域は、奈良とのつながりが深い所です。聖武天皇の在位中には、この地に恭仁京が置かれました。展示されている仏さんが住んでいる寺には、南都系の真言律宗の寺があります。

 

展示を観る前には、南山城の仏さんは、奈良以外とはあまり縁がないものと思い込んでいました。

しかし実際には、平安時代に、山深い地形が活かされる形で、密教修験道が入ります。更に、室町時代には、禅宗一休さんがやってきます。都との適度な距離が、修行に都合が良かったのでしょう。

 

前半では、いずれも重要文化財で10世紀生まれの、背の高い十一面観音さんが2体立っています。先客に倣って、お姿は、正面からも左右からも見上げます。大きな顔は目を閉じていて、左右の長い耳で、我々の声に耳を傾けています。しかし、頭の上の小さな顔は、目を開いて、館内を見渡しています。

 

特別展の主役ともいえる、浄瑠璃寺阿弥陀さんは、展示中盤の第3章、西側の展示室でお待ちです。

 

浄瑠璃寺阿弥陀さんは、9体いらっしゃいます。室内にはそのうちの2体、向かって右手に「その1」が、左手には「その8」が座っています。

 

お二方のお顔立ちは異なり、その1の方が端正に見えます。私の妄想では、その1が真面目な兄貴で、その8が少しひょうきんな弟であると思います。

 

阿弥陀さんの周りも、2~3周、ゆっくりと巡ってみます。すると、お二方のお姿が、次の取り組みに備えて、土俵下で精神統一をしている相撲取りのようにも見えてきました。

 

阿弥陀さんの展示に際しては、お肌の金箔の剥離防止と、台座の補修が行われました。修理の説明パネルを読んでから、三度お二方を見上げると、「身体の凝りが治ったような気がするな。やはり、休養は大切だぞ」という声が聞こえてきそうでした。

 

ミュージアムショップでは、浄瑠璃寺の「その1、その8兄弟」が映ったクリアファイルを買いました。

 

2023年8月12日、北野天満宮で書と刀を鑑賞

参拝、鑑賞日:2023年8月12日(土)、晴れ

場所:京都市右京区

宝物殿入館料:1000円

 

昨年8月12日は、千本釈迦堂に続いて、近くの北野天満宮にもお参りしました。

千本釈迦堂と天神さんとの間にも、歴史的なつながりがあるようです。

 

明るい時間帯にに天神さんをお参りするのは、32年ぶりでした。

本殿前に広がる梅干し



天神様の本殿前には、ウメの実が天日干しされています。回廊に立っていると、梅干しの匂いがします。

 

宝物殿

参道を下って行くと、宝物殿が公開されています。

今日は、書と刀が展示されていることを知って、すぐに靴を脱いで宝物殿に上がります。

 

館内では、スマホ利用の撮影に限り、刀を写真に撮ることができます。

入ってすぐの所に飾られている太刀は、重要文化財の鬼切丸です。鬼切丸の後ろの展示ケースにも、様々な形、刃文の大小が並びます。これらの多くは、前田の殿様から天神さんに奉納されました。

 

主に、天神さんの神號「南無天満大自在天神」を描いた書は、壁側に並んでいます。

書き手の中には、歴代の天皇さんも含まれます。

目録に「書画」として紹介されているように、特に東山天皇の筆による神號は、左右逆の鏡文字に加えて、まるで、善光寺の鳩文字のように、文字と鳥の画が一体化しています。

 

書画を観ている間に先客は皆、退館されたようで、先程の霊宝館と同じく、宝物殿内の参拝客は、私1人だけの貸切状態になりました。これは有り難い機会ですので、鬼切丸をはじめとした刀を、中腰の姿勢になって、改めてゆっくりと鑑賞します。

鬼切丸の反り具合は、手作業とは思えない位の美しさに気づきました。

 

 

2023年8月12日、千本釈迦堂を初めて参詣

参詣日:2023年8月12日(土)、晴れ

場所:京都市上京区

拝観料:600円

 

昨年8月12日は、千本釈迦堂を初めてお参りしました。

千本釈迦堂の寺号は、大報恩寺です。

参道

本堂は、応仁の乱以前に建てられて現存する、数少ない建物です。

本堂(国宝)

当日は、ご本尊のお釈迦さんが、特別に開帳されていました。

盆の祭りの期間中は、本堂手前の仮設テントにて、拝観の受付を行います。

 

先客と入れ替わるようにして、靴を脱いで、誰もいない板の間の本堂に上がると、薄暗い堂内は、外陣と内陣に分かれています。

 

ここではまず、木彫りの小さな観音さんに賽銭を納めて、蝋燭に火を灯して献灯します。

 

内陣の様子は、外陣との境目から拝みます。

 

内陣には更に、お厨子が見えます。本堂もお厨子も、鎌倉時代に造られた国宝です。

厨子の扉は開いていて、中には黒光りした、重要文化財のお釈迦さんが座っています。

 

深大寺で観たことがある白鳳仏と同じように、こちらのお釈迦さんも、まっすぐな姿勢で座られています。

お釈迦さんの様子は、賽銭箱の前に正座してみると、一層はっきりと見えました。

 

本堂の裏手には、大きな霊宝館が建っています。館内では、6体の大きな観音さんが待っています。

6体はいずれも、鎌倉時代に、慶派の仏師に刻まれた重要文化財です。

手前に座っていらっしゃる如意輪さんは、「お釈迦さんは厳しいお顔立ちだが、我々の前では緊張しなくてもよろしい。肩の力を抜いてみよ」と、全身で語りかけているように見えます。その他の5体も、馬頭さんでさえも、穏やかなお顔立ちで、参拝者の心の声に耳を傾けている様子です。

 

先客が退館した後には、再び建物の中には私1人だけになりました。

観音さんの隣には、地蔵さんや子供姿のお釈迦さん、真剣なお顔立ちの大日さん、更にお釈迦さんの10大弟子も並んでいます。お弟子さんはやはり、インド風のお顔立ちです。

珍しい宝物では、それぞれ龍と鳳凰が刻まれた、大太鼓の大きな縁の部分が展示されています。

 

初めてお参りした千本釈迦堂には、多くの見所がありました。

 

 

経路

京都《烏丸線今出川白峯神宮千本釈迦堂

 

 

2023年8月6日、初めて歩く三溪園で古寺を観る

散策日:2023年8月6日(日)、曇りのち晴

場所:横浜市中区

三溪園入園料:513円(前売り割引電子チケット利用)

 

昨年8月6日に歩いた三溪園では、ハスの花見に続いて、三重塔も見上げました。

 

出世観音

三重塔の手前には、にこやかなお顔立ちの、出世観音が座っています。

三重塔 戦前の移築

三重塔は、京都木津川の廃寺から移築された、室町時代の建築です。

遠くから眺めても、近くで見上げても、素晴らしい塔です。

 

本堂は戦後の移築

塔から急な階段道を下りた麓には、戦後に、京都の同じ寺から移築された、本堂が建っています。三重塔も本堂も、重要文化財です。

お堂の内陣には、仏さんの姿も見えます。

 

本堂の前には、美濃から株分けされた、淡墨桜が植えられています。三溪園では、桜の花見も面白そうです。

 

2023年8月6日、初めて歩く三溪園で観蓮

散策日:2023年8月6日(日)、曇りのち晴

場所:横浜市中区

三溪園入園料:513円(前売り割引電子チケット利用)

 

昨年8月6日は、三溪園を初めて訪れました。

三溪園が、ハスの名所であることは、昨夏に知りました。また、ハスの開花に合わせて、早朝開園が行われることも知りました。

蓮池。歩き始めた時には曇り空

 

大きく花を開くハス

蓮池は、正門から入ってすぐ右手の、細長い池です。

水面は、ハスの葉っぱに覆われています。花は幾分ピークを過ぎているようで、はちすも多く見られます。

 

咲いている花は、葉っぱよりも高く茎を伸ばしている株もあれば、葉っぱを日陰にして、恥ずかしいそうに咲く株もあります。水辺では、多くの花見客が、カメラやスマホを花に向けています。

三重塔を背景に

蓮池において、カメラとスマホが特に集まっている所は、ハスの花の向こうに三重塔を望める所です。

観蓮の後半は青空が広がる