2019年は、徳川家が紀州に入国してから、400年目の年でした。
和歌山県立博物館では、昨年11月24日まで、特別展示として「徳川頼宣と紀伊徳川家の名宝」が開かれました。
私は、特別展示の最終日に、同館を訪れました。
紀州徳川家といえば、8代将軍吉宗が余りにも有名なせいか、私自身も、藩祖で吉宗の祖父でもある、南龍院頼宣の生い立ちについては、ほとんど知りませんでした。
9時半の開館直後の展示室には、お客さんも少なく、様々な体勢で刀を眺められるくらいに、ゆっくりと鑑賞できました。
最初の展示室では、頼宣が戦で身に付けたものや、家康の死後に分け与えられた品々が並びます。それらの多くは、家康と頼宣を祀る、紀州東照宮の所蔵品です。
家康が還暦を迎えた頃に、十男として生まれた頼宣は、家康の近くで育てられ、可愛がられたようです。
しかし、展示品や、頼宣自身の書いた文字から判断する限りでは、決して家の中で甘やかされた若殿様ではなく、「文」よりも「武」の人であったようにも思えてきました。
後半の展示では、実際に頼宣が紀州に入国してからの資料を観ます。
こちらでは序盤とは対照的に、頼宣の「文」の側面が見られます。
資料では頼宣が、熊野三山をはじめとした、寺社の復興に尽くしたこと、実際に熊野詣や白浜での湯治に訪れたことも分かります。
将軍家に連なる家柄といえども、紀州においては「新参者」ですから、寺社への気配りを念入りに行ったのでしょうか。
最後は、ミュージアムショップにも立ち寄ってみました。
書籍のコーナーには、紀州徳川家や紀州の歴史について述べた、数多くの研究論文集が売っていました。
全国レベルの知名度ではないものの、こちらの博物館の研究活動は、活発に行われていることが分かりました。
鑑賞日:2019年11月24日(日)、曇り
場所:和歌山県立博物館
入館料金:830円