美術館と博物館等の散歩記録

美術館、博物館、寺社の宝物館、特別拝観、各地の特別公開を綴ります。

2023年11月26日(日)、紀三井寺の大光明殿で地蔵菩薩立像他拝観

拝観日:2023年11月26日(日)、晴れ時々曇り

場所:和歌山県和歌山市

紀三井寺大光明殿:500円

 

昨年11月26日は、西国第2番札所の紀三井寺にお参りしました。

西国三十三所の中で、紀三井寺は、16番札所の清水寺と共に、最も多くお参りしている寺です。

 

それは、境内に高低差があることと、訪れる度に色々な催しが行われることにあります。

私は、ケーブルには乗らずに、険しい石段を全身で登ります。

 

境内では、モミジ、ソメイヨシノの紅葉も残っていました。

 

本堂の前では、「身体健康」と書かれた蝋燭に火をつけて、線香にも火を移して、心身を清めます。次は鰐口を鳴らして、ご本尊の真言を3回呟きます。更に、納経も行います。

 

ご本尊をはじめとした、重要文化財の仏さんたちは、本堂裏手の大光明殿に住んでいます。

 

靴を脱いで、お住まいに入ると、自動的に音声案内が始まります。先客は誰もいません。

 

目の前には、幕が下りた厨子が2つあります。向かって左手は、ご本尊の十一面観音、右手は、千手観音です。お二方には、4年前の開帳時にお会いしました。今日は、お厨子から延びる、結縁紐と鈴を通じて挨拶します。

 

姿を見せている仏さんは、左から、毘沙門天帝釈天梵天、お前立ちと伝わる十一面観音、更に、今月末までの期間限定でお会いできる、絹地に描かれた地蔵さんです。

 

こちらの地蔵さんが、4度目の紀三井寺参詣への縁を結んで下さいました。

鎌倉時代に描かれた地蔵さんは、令和になってから発見されました。傷みが激しく、先月までは2年間、療養していました。

 

自動音声によって気づいたことがあります。それは、少し斜めに観ると、お前立ち、梵天さん、帝釈さんはいずれも、右足を親指1本分、前に出していることです。

案内では、衆生を救うために踏み出そうとなさる姿と説明されます。

 

地蔵さんもまた、右足を少し前に出しています。地蔵さんが描かれた掛け軸は、空調の風に、ゆら~りゆら~り揺れています。

 

優しい顔立ちのお前立ち、厳しそうな顔立ちの梵天さん、飄々とした顔立ちの帝釈さんは皆、「どんな時にも、前に進もうという気持ちを忘れるな」とも、参拝者に説いているようにも見えます。

 

地蔵さんからは、「十一面さんたちの言う通りだ。しかし、わしのように、力まずに自然体でいることも大切であるぞ」と聞こえてきそうです。

 

大光明殿を拝観後は、納経所にて重ね印と散華を賜りました。