美術館と博物館等の散歩記録

美術館、博物館、寺社の宝物館、特別拝観、各地の特別公開を綴ります。

2022年3月12日、静岡市美術館で『平等院鳳凰堂と浄土院 その美と信仰』を鑑賞

鑑賞日:2022年3月12日(土)、晴れ

場所:静岡市葵区

鑑賞料金:1400円

 

3月12日は、静岡市美術館にて、「平等院鳳凰堂と浄土院 その美と信仰」を鑑賞しました。この展示については前月、静岡市内に泊まった時に、宿のロビーに置いてあったパンフレットで知りました。

 

平等院へは、若い頃に訪れたことがあるものの、天気が悪かったことと、鳳凰堂を少し離れた所から見た以外には、ほとんど印象に残っていません。

 

展示室に入って最初に現れたのは、平等院を寺とした、藤原頼通の木造です。解説文の通り、その表情は何かに思い悩んでいるようにも見えます。

権力者には、過去を振り返っても、未来を見ても、悩みが多いのかもしれません。それゆえに、頼通は極楽浄土を思い描いて寺を建てたのではないかと、私は想像してみました。

 

前半の展示品の中には、平安時代に刻まれた、本物の彫り物にも出会うことができました。それが、国宝の雲中供養菩薩像でした。雲に乗った菩薩さんは、「浄土は楽しい所だよ」にこやかなお顔立ちで、鑑賞者を迎えているように見えました。

 

阿弥陀さんは、ご本尊の大きな写真パネルと、塔頭の浄土院にいらっしゃる2尺ほどの木彫りの坐像が展示されています。阿弥陀さんは「難しいことは言わぬ。落ち着いて呼吸を整えよ」と諭しているように見えました。

 

終盤には、江戸時代に書かれた、2種類の写経に釘付けとなりました。

1つはお公家さんが書いた、くずし寺の般若心経です。その文字は、しなやかさと力強さを持っています。活字のような楷書を書かせる写経よりも、私はこちらに共感します。

もう1つは、坊さんが書いた金文字の阿弥陀経です。こちらは、1文字書くごとに3回礼拝して仕上げたものです。1文字1文字が骨太で、この手の文字も私は大好きです。

 

一通りの展示を見終わると、予想していたよりも長く、1時間弱が過ぎました。

最後は、ミュージアムショップにも立ち寄って、雲中供養菩薩像が描かれたクリアファイルを買いました。