拝観日:2023年2月11日(土)、腫れ
2月11日は、「京の冬の旅」で特別公開された、清水寺の成就院を訪れました。
成就院へはまず、清水さんの拝観料を納めて、左手の坂を下った所に、門が建っています。
成就院の受付は、書院の入口に設けられています。受付より先は、室内も庭も撮影禁止でした。
書院の座敷に通されると、1回につき10人前後が集まり次第、ガイド氏が説明を始めます。
ガイド氏は私たち拝観者にまず、応仁の乱以降の清水寺の復興と、成就院の歴史について、話を始めます。月の庭は、江戸初期の作庭です。
庭を望むガラス戸のガラスは、凸凹した大正ガラスです。
庭の半分以上は、小さな灯籠を要とした、扇形の池です。
月は東から上り西へ下るにもかかわらず、庭から見える空は、北の空です。それでは月はどのように観るのかというと、池の水面に映った月を愛でます。
とんち話のような作庭の発想は、凡人にはなかなか思いつきません。
ガイド氏は、灯篭の形と場所についても説明を続けます。月の庭は小さな庭であるものの、垣根を低くして、谷の向こうにも「借景の灯籠」を置くことによって、奥行きを持たせています。
また、灯りを照らす部分が小さな穴しかない「蜻蛉灯籠」や、全体が三角柱の「三角灯籠」も見られます。灯篭にも、様々な意味があるようです。
もしも、月の庭が夜にも拝観できたら、どのような風景が広がるのでしょうか。
再び座敷に戻り、今度は仏間を注目します。
仏間のご本尊は、掛け軸の観音さんです。その姿は、肉眼では鮮明に見えないものの、本堂の千手観音さんと同じとのことです。
欄間には、107歳で入滅した先々代住職が、90歳を過ぎてから筆を握った書が飾られています。彫刻家の平櫛田中がそうであったように、先々代にとって70歳、80歳は「鼻垂れ小僧」といえましょうか。
昨年2月には北野天満宮の花の庭、4月には妙満寺の雪の庭を観たので、今回の月の庭拝観によって、私は雪月花の庭園鑑賞が叶いました。